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WebGL - 二次元での回転

本記事もWebGLシリーズの一つである。最初の記事はWebGLの基本で、そして前回の記事は二次元で移動することについての記事である.

まず、上手く説明出来るかどうか分からないが、ベストを尽くしてみよう。

最初に「単位円」というものを紹介したいと思う。中学校で学んだ数学を思い出せば、 円形には半径がある(そこ!簡単すぎるからといって寝てしまわないで!)。 円形の半径は円の中心点から円周までの距離である。 「単位円」は半径を1.0とした円である。

これは単位円である。

上の図で、青いハンドルを操作したらXとYの値が変わることに注目して下さい。 それは円周上の位置を表している。 真上はYが1.0でXが0.0である。真右ならXが1.0でYが0.0になる。

小学校の数学を思い出せば、何かに1を掛けるとその数字と同じになる。例えば123x1=123である。 それは結構常識であるだろう?単位円はこの「1」と似たものだ。半径が1の円であり、言うなればある種の「1」だ。 それは「回転する1」である。「何かに1を掛ける」と「同じ数字になる」ように、「何かに単位円を掛ける」と「魔法のように回転する」。

前回のサンプルの図形頂点を単位円のXとYに掛けよう!

これは更新された頂点シェーダーである。

<script id="vertex-shader-2d" type="x-shader/x-vertex">
attribute vec2 a_position;

uniform vec2 u_resolution;
uniform vec2 u_translation;
+uniform vec2 u_rotation;  // 単位円の円周上の位置座標

void main() {
+  // 座標を回転する
+  vec2 rotatedPosition = vec2(
+     a_position.x * u_rotation.y + a_position.y * u_rotation.x,
+     a_position.y * u_rotation.y - a_position.x * u_rotation.x);

  // 移動距離を足す
*  vec2 position = rotatedPosition + u_translation;

そしてJavaScriptをその2つの値を設定出来るように更新する。

  ...

+  var rotationLocation = gl.getUniformLocation(program, "u_rotation");

  ...

+  var rotation = [0, 1];

  ...

  // シーンを描画する。
  function drawScene() {

    ...

    // 移動距離を設定する。
    gl.uniform2fv(translationLocation, translation);

+    // 回転角を設定する。
+    gl.uniform2fv(rotationLocation, rotation);

    // 図形を描画する。
    var primitiveType = gl.TRIANGLES;
    var offset = 0;
    var count = 18;  // 6つの三角形、三角形ごとに3頂点
    gl.drawArrays(primitiveType, offset, count);
  }

そしてこれがその結果である。単位円のハンドルを操作して回転、 スライダを使って移動してみよう。

何でこういう結果が出るか?よろしい、計算式を見て下さい。

rotatedX = a_position.x * u_rotation.y + a_position.y * u_rotation.x;
rotatedY = a_position.y * u_rotation.y - a_position.x * u_rotation.x;

回転したい四角形があることを想像しよう。回転する前は右上の頂点は(3.0, 9.0)である。 単位円の円周上、真上から右回り30度の位置を選ぼう。

この、単位円の円周上の位置は(0.50, 0.87)である。

   3.0 * 0.87 + 9.0 * 0.50 = 7.1
   9.0 * 0.87 - 3.0 * 0.50 = 6.3

これが回転する為に必要な値になってくる!

60度も同じようにしてみよう。

この、単位円の円周上の位置は(0.87, 0.50)

   3.0 * 0.50 + 9.0 * 0.87 = 9.3
   9.0 * 0.50 - 3.0 * 0.87 = 1.9

この、単位円の円周上の位置を右回りに移動するとXが大きくなって、Yが小さくなって行く。90度を過ぎたら Xが小さくなって、Yが大きくなって行く。そのパターンで回転出来る。

「単位円の円周上の位置」には別の名前がある。 それは正弦(sine)と余弦(cosine)と呼ばれている。 どんな角度でもその角度の正弦と余弦はこのように調べられる。

function printSineAndCosineForAnAngle(angleInDegrees) {
  var angleInRadians = angleInDegrees * Math.PI / 180;
  var s = Math.sin(angleInRadians);
  var c = Math.cos(angleInRadians);
  console.log("s = " + s + " c = " + c);
}

このコードをJavaScriptコンーソルにコピー&ペーストして、そして printSineAndCosineForAngle(30)を入力したらs = 0.49 c = 0.87が 表示される(note:値は四捨五入した)。

これらを組み合わせたら、どんな図形をどんな角度にでも回転出来るようになる。 rotationを希望の角度の正弦と余弦に設定するだけである.

  ...
  var angleInRadians = angleInDegrees * Math.PI / 180;
  rotation[0] = Math.sin(angleInRadians);
  rotation[1] = Math.cos(angleInRadians);

これは角度しか使わない版である。移動と回転するためにスライダを操作してみよう。

ここまで良い説明だったかな〜。。。 これは一般的な回転する方法じゃないのでまだ読み続けて下さい。 2つ後の記事でそれにたどり着く。次はもっと簡単なこと、拡大と縮小のやり方である。

ソースコードに出てくるRadian(ラジアン)って何?

ラジアンは円や回転で利用される、「角度を計る単位」である。 距離が「インチ」とか、「センチ」とか、「メートル」などで 計れるのと同じように、角度は「度」とか、「ラジアン」の単位で計れる。

あなたが普段の生活で帝国単位系(いわゆるヤード・ポンド法。日本の尺貫法に近いが、 アメリカなどでは現役で、例えば身長の話題はセンチでなくフィートで表現される)を 使っている人であっても、「計算にはメートル法を使った方が楽」であることには同意するのではないかと思う。 帝国単位系で「1フィートは12インチ、1インチは1/36ヤード」であることを知っていたとして、 「36で割る」などということが暗算でできるものだろうか?私には無理だ。一方、メートル法なら話は簡単だ。 「1センチメートルは10ミリメートル、1ミリメートルは1メートルの1/1000」である。 「1000で割る」計算なら私でも暗算できる

ラジアンの話に戻ろう。 「ラジアン」と「度」は同じようなものであるが、「回転の計算では『度』を使う方が難しい」。 円を「度」で計ると360度になるが、 ラジアンで計ると2πラジアンになる。 一周は2πラジアンである。半周は1πラジアンである。1/4周は1/2πラジアンである。 90度回転したければMath.PI * 0.5を使えばいいし、45度ならMath.PI * 0.25を使えばいい。

角度の計算では、ほとんどの場合ラジアンを使えば簡単になる。これからは、ラジアンで考えてみよう! 「UIデザイン」の文脈では「度」を使う方がよいこともあるが、それ以外の状況ではラジアンを使うべきである。

問題点/バグ? githubでissueを作成.
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